それでもあきらめるな どん底人生

これからの人生を最高にしていくために

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家を手放して気づいた事

長年苦しんでいた会社を手放しました。

事業分割譲渡というスキームで、
大手の会社に会社を買ってもらうと同時に、
金融負債の一部を免除してもらう方法です。

連帯保証をしていた私は、経営者保護のガイドライン
という仕組みを使わせて頂き、破産は免れたものの
長年住んでいた家を売却し返済に充てました。

 

失う事の恐さ

自分が持っているものを失うとか
奪われるというのは恐ろしいものです。

自分のものがある日、人手に渡る。
それを黙って見ていなければならない
苦しさみたいなものがありました。

それが、長年、いや生まれてこの方、
ご先祖様から引き継いできた家と土地だと
なおさら、様々な感情が生まれてくるものです。

正直、辛いものでした。
柱には私が子供の頃からつけていた身長の傷があります。
そこに子供たちが重ねて傷をつけて、
私の方が成長が早いだのとやっていました。

まだ元気だったころ、父親が植えた植木達は
立派に大きくなっています。

こども達が小さい時に、花火をやった駐車場は
あの時のままで何も変わってません。

当たり前ですが、そんな思いでが詰まりに詰まった
家を手放すと分かってから、色んな思考が私を襲います。

 全ては俺のせいなんだ。
そんな思いが心を締め付ける日々が続きました。

家は生きている

引っ越しが決まってから、
家に色んな変化が現れました。

玄関に昔から植えてある、大きな木が
枯れ始めたのです。今まで何十年と元気に
成長してくれていた木が突然生気を無くし、
見る見るうちに枯れ始めました。

古い家でしたからそれなりにガタは来てましたが、
玄関周りが急に朽ち始めました。

電化製品のいくつかが、調子が悪くなりました。

だから、家は生きているんだと思いました。
きっとこいつらも、もうじきお別れなんだと分かっているのです。

どこかで会話を聞いているんでしょう。
家族が、いい時も、苦しい時も、喧嘩したときも、
笑ったときも、お祝いしたときも常に一緒にいたんだから、
言葉が通じても何ら不思議じゃありません。

家に感謝する

そんな家に、お詫びと感謝をすることにしました。
庭の木に、玄関に、壁に、電化製品に
手を当てて心の中でつぶやきました。

『すまん、お別れだ。今までありがとう』

もちろん返事は返ってきませんが、
寂しい気持ちと、どこかほっとした気持ちを感じました。

そんな時、家を離れてる娘たちが帰ってきて、
『どうせこの家壊すんなら落書きしていい?』
と言い出しました。

売却後、取り壊しが決まっていたので、
『いいよ』と答えると、2人で家じゅうの壁に
色んな事を書き始めました。

そこには、今までの思い出と同時に、
この家への感謝の言葉とお別れの言葉がありました。

幼少時代を過ごした娘たちも、
どこかでこの家を家族と感じていたのでしょう。

家への感謝

 

あっという間の引っ越し

引っ越しの日のカウントダウンが始まりました。
最後の日の夜には、食器も段ボールにしまわれて、
ゆっくりと夕食というわけにはいきませんでした。

仕事で遅くなったのもありましたが、
スーパーのお弁当で簡単にすませて、
翌日の引っ越しに備えて早々に寝る事にしました。

あれだけあと何日でお別れだと考え苦しんでいたのに
直前になるとそんな感傷に浸る余裕もなく、
風呂も入ったかどうかもあまり覚えてなく、
当日の朝は、引っ越し屋さんの屈強な男達が
指定の時間よりも早めに到着し、
あっという間にトラックに詰め込んで、
『それでは出発します』というもんだから、
こちらも慌てて『後に続きます』と言って、
わき目も振らずに家を後にしました。

これが我が家とのお別れでした。
なんともあっけないけれど、清々しいお別れでした。

『すまん、さらばだ』

『おう、新しいとこで元気で暮らせ』

そんな声がしたような気がしました。

手放してわかること

あれほど手放す事に苦しめられていた家ですが、
実は手放してしまえば、その苦しみが消えていきました。

いつまでも後悔するもんだと思ってましたが、
そんな事はありませんでした。

そりゃー今でも鮮明に覚えています。
様々な思い出の数々。

そこにいつもいてくれた家、家具や、庭の木々

 それらは本当に有難いとても素敵な思い出として
姿を変えて心の中に存在してくれるようになりました。

そして、今の新居を日に日に好きになってきました。

最後に

家を出る前に、家族で家の写真を沢山とりました。
ここでこんなことをしたよねーと言いながら
シャッターを押しました。

実はまだ、プリントしてません。
大事にカメラの中に保存してあります。

まだ、プリントして飾るには早いかなと思っています。
しかし、時期が来て完全に心の整理がついた時には、
かつての家族であった家の写真を
この新居に感謝を込めて飾ろうと思っています。

あれだけ大切な家族のような家も、
手放してしまうまでは苦しく、辛いものでしたが、
しかし、いざ手放してしまうと、それほどでもありませんでした。

心の中にちゃんとしまっておいて、
いつでも思い出して感謝していれば、
手放した気がしないものです。