それでもあきらめるな どん底人生

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会社を手放す時に起こる事

会社を手放しました

長年続いていた業績悪化を受けて、苦肉の策で、

大手企業に従業員、設備、商品、事業そのもの丸ごと

買って頂きました。

 

会社というのは生き物です。家族といっても過言でない。

社員さんと一緒になって、時に苦しみ、時に喜び、

来る日も来る日も良くなる事を夢見て取り組んだ会社を手放すのは、

並大抵ではありませんでした。

 

 

会社を閉じるには様々な方法がある

このまま、頑張っていては早晩、会社は倒産してしまう。

そう思ったので、ある時期に決断し、出来るだけスムーズな方法を

選べるように、専門家の方と相談をしました。

 

そこで選んだのがM&A 。 当社を欲しいといってくれる会社に、

株を買ってもらい、経営権を持ってもらう方法です。

 

それだと、誰にも迷惑かけずに移行出来る。

そう思い込んで、進めてもらう事にしました。

 

会社の売却は甘くない

会社を売買するのは、商品の売買と違い、そんなに簡単ではありません。

会社の価値はどれくらいあるのか、今後の事業の成長性はどうなのか?

従業員のレベルは?在庫の価値は?金融機関との関係は?

 

ありとあらゆることをしらみつぶしに調べ上げられます。

求められた資料を何度も作り直し、提出しました。

 

プロの監査法人の方が会社に入られて、様々な質問を浴びせられます。

少しでも資料に不明な点があれば追及されます。

 

連日、深夜までそんな作業が続きました。

 

監査法人の方も大変でしょうが、こちらも終始被告人席に座ってる気分です。

次は何を聞かれるか、常にビクビクしていました。

そして丸裸にされた時に、会社の価値(金額)を言い渡されます。

 

金融負債を全額返せない時

提示された金額で金融機関の負債を全て返す事が出来れば、

誰にも責められる事はありません。

しかし、相当弱って、痛んで、それでも頑張ってた当社には、

全額返す力は残ってませんでした。

 

つまり、一部を金融機関に債権放棄してもらわなければいけません。

借りてたものをきちんと返す。そんな当たり前の事が出来なくなりました。

 

これにはもちろん銀行に同意してもらわなければなりませんが、

いくつかの銀行から借りてたので1銀行でも同意頂けなければ話は成立しません。

 

連日、説明とお願いに回る日が続きました。

 当然、きつい事も言われましたが、一番つらかったのが沈黙でした。

 

一通りの説明とお願いを伝えた後の、先方の方の沈黙。

担当の方にもそれなりに事情があります。

それは痛いほど解ります。申し訳ない気持ちで一杯です。

でも、何もできません。ただ、お詫びするしかない。

 

その沈黙の間、手にはじっとり汗がにじみ、喉はからからでした。

この時間が永遠に続くのではないかという何とも言えない気持に包まれます。

 

怒鳴られるかな?机を叩かれるかな?そんな事を思いながら待ってましたが、

声を荒げる方はいませんでした。

それどころか、帰る時にはエレベーターまでお見送り頂けました。

しかし、目を合わせては頂けませんでした。

 

そんな事を1日に5回も6回も繰り返します。

終わったときには流石にどっと疲れて立ってるのがやっとでした。

 

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心に誓っていた事

何もかも放り投げてしまいたい。そんな衝動に駆られる時もありましたが、

だからこそ、『最後まで絶対に取り乱さない』と決めていました。

怒りたくもなります、泣きたくもなります、うろたえてしまいそうになります。

 

しかし、いつか、必ず終わる時が来るんだ。

そう信じて『取り乱さない』と決めました。

 

これは意外に効果がありました。

つい瞬間的に怒りそうになった時、つい弱音を吐きそうになった時、

どこからか『取り乱さないと決めたんだろ?』と声がしました。

その声のお陰で何度も踏みとどまる事が出来ました。

 

ほんの始まりに過ぎなかった

会社の内容を説明して資料を作って、

銀行に説明に行って、やるべき事をやった。

そんな思いでしたが、これはあくまで始まりにすぎませんでした。

 

会社を手放すまでには、それから長い長い日々が続く事になりました。