それでもあきらめるな どん底人生

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銀行に返済できなくなった時

返済が不可能になる

銀行にお金を借りたら、毎月利子をつけて返さなければならない。

この当たり前の事をきちんとやるために、

会社は資金繰り表というものを作成します。

 

 

売上と入金がずれることがあるから、

実際の現金がいつ会社に入ってくるのかを

きちんと把握しておかなければならない。

 

一方、会社から出ていくお金が

いつどのくらいあるのかも、

この資金繰り表の中で管理していきます。

 

毎月の人件費や家賃といった

固定費と言われるものは、分かりやすいが、

仕入代や物流費など、月々で変動する

変動費はきっちりと管理していないと、

足らなくなってしまいます。

 

資金繰り表はその細部に至るまで、

期間を隔てて、様々な事を教えてくれます。

時には非情な事も伝えてきます。

 

売上が低迷しだしてから、

この資金繰り表と睨めっこをする

時間が増えました。

真っ先に手をつけるのは、自分の給与。

『先月も1度やったけど、

今月もさらに踏み込まないと』

『さて、カミさんになんて言おう』

などと考えつつ、

背に腹はかえられませんでした。

 

次に手を付けるのが販売促進費。いわゆる広告費。

すでにそれなりに削ってるから、

悩んでしまいます。

『これ以上の削減は大きく売り上げを

下げるかもしれない』

そんな恐怖と闘いながら、決断をしていきました。

 

そして、どうしても手を付けられないのが、

社員の給与。未払いはしていない。

しかしもうかれこれ2年近く、

ボーナスは出してないので、せめて給与だけには、

何があっても手を付けないと決めていました。

 

だから、リストラという名の人員削減もしない。

そう言えば、カッコよく聞こえるかもしれませんが、

わが社は、人員削減をしたところで、

すでに縮小均衡でしかなく、

どんどん弱っていくのが明白でした。

 

それなら、今いてくれるみんなで、

とことんまで頑張ろう。

そう心に誓っていました。

しかし、今になって思えば、

経営者の身勝手な判断だったと

深く反省しています。

 

銀行の態度の変化

これ以上は自力での資金繰りは不可能な日が、

近い将来にやってくるということは、

社内だけでなく、銀行も解っています。

 

銀行はお金のプロです。

毎月提出する資金繰り表を見れば、

いつお金がショートするかくらいは

見当がつきます。

 

それまで、担当者が一人で訪問して

いたのが、支店長や副支店が

同席してこられるようになりました。

 

最初の頃は、今までと変わらない

状況ヒアリングでしたが、

その顔つきは以前とは違い、

厳しいものになっていました。

それが、ある日を境に今までにはなかった、

様々な質問が出始めた。

私(社長)の資産内容に対して、

『いくらぐらい預金がありますか?』

『株とか保有してますか?』

『リストラ(人員削減)をすべきじゃないですか?』

 

支店長の表情と口調に今更ながら、『ついにここまで来てしまったか』

という思いが心によぎりました。

 

一歩を踏み出す決断

ここまで来ると、会社を取り巻く色んなものが変わり始めました。

銀行に加えて、仕入先の態度や、面談の回数。

社員の同行、顔色。すべて負のスパイラルが回り始めます。

 

しかしこの期に及んで、『まだどうにかなるのでは?』という思いもありました。

それは、冷静な判断ではなく、今まで何十年もそうやってきたんだから。

という何の根拠もない理由でした。

 

つまり完全に冷静さを欠いていました。

それを気付いた時、同時に社長は自分しかいない、

決めるのは自分しか出来ない。ということにも気付きました。

 

ただ、どうすればいいか解らない。だとすれば恥をかこうが、怒られようが

適切な判断をしてくれる人に相談しよう。そう決めました。

返済猶予のお願い

まずは、メイン銀行に相談して、その結果、

再生支援協議会に相談することにしました。

 

再生支援協議会とは、国の機関であり、各地区の商工会議所の中に

事務所を構えていて、銀行OBや弁護士、会計士など、

各分野のプロの方々が相談に乗ってくれるところです。

それまでは、こういう機関がある事さえ知りませんでした。

 

東京の支援協議会のサイトを参考までに紹介させてもらいます。

 

www.tokyo-cci.or.jp

 

はじめて訪問したときにはかなり緊張しましたが、

担当の方は手慣れたもので、私みたいな経営者と日々接してあるからか、

淡々と説明がなされ、進んでいきました。

 

そこで言われたことは、『各金融機関にリスケをお願いしましょう』

という一言でした。

 

リスケとはリスケジュールの事で、計画を組みなおすという意味。

このままでは返済できないので、返せる計画に変えましょうという事。

つまり、銀行との約束を破るという事になります。

 

銀行へのリスケのお願い訪問

もちろん、リスケは相手の合意があっての事です。

銀行だって、そうですか、返済が苦しいですか、

ハイ解りました、延ばしましょう。とはいかない。

 

返済を延ばすことにちゃんとした理由があり、かつ

銀行にとっても損にならないような説明がいる。

 

ある銀行からとことん反対されました。

『返済猶予には同意できません』とはっきり言われ、

こちらの事情を話すものの、押し問答でしかなくなり、

しまいには、かなり長い時間の沈黙が続きました。

 

なんとしても同意頂かなければならないものの、

すでにこれ以上説明する内容は尽き果ててました。

 

なにか言おうとして口を開いても、『さっき聞きました』

という顔をされるだけなのが解ってました。

 

最後はいつも『今日のところはお引取り下さい』の一言で

席を立っていました。

もっと粘るべきだろうかという思いと、やっと終わったという思いが、

交錯していました。

 

バンクミーティングという会議

このリスケという返済猶予は、どこか一つの銀行でも同意がないと

成り立ちません。だから個別に各銀行を回って、

仮に同意頂いても、『あの銀行さんは同意いただけました』

という説明では信用してもらえません。

 

そこで支援協議会が開催するバンクミーティングという会議が行われます。

各銀行から2名から3名が出席しますから約30名くらいの会議になります。

 

会議の様子

そこで冒頭に挨拶をします。挨拶というよりお詫びです。

今日集まっていただいた事へのお礼と

今からお願いしなければならない事のお詫びをします。

 

そのあと、延々とリスケをしなければならない現状を説明し

お願いへと続きます。

 

一番緊張するのは、質疑応答のところです。

どんな事をいわれるだろうか?ちゃんと答えられるだろうか?

そんな事に不安を感じながら、質問を受けましたが、

そこでは声を荒げられることもなく、

ある意味、事務的に進んでいきました。

 

もちろん厳しい事も言われますが、

どなたも紳士的に発言頂きました。

しかし、終わった時にはどっと疲れていたのを覚えています。

このバンクミーティングをこれから4~5回開催することになります。

 

まとめ

銀行に返済できなくなったら、

返済を待ってもらうしかありません。

 

しかし、そんな経験がない中小企業経営者には

どうすべきかなんて、正しい判断は出来ません。

そんな時は、思い切って、恥を承知で専門家に相談することです。

 

たとえ、返済猶予という相手を裏切ってしまう方法を提案されても、

専門家は今までの数々の事例経験からベストな選択肢を提案してくれるはずです。

 

その判断を誤れば、なお最悪の状況へ進んで行く事になるかもしれません。

 

今まで、信頼してお付き合いして頂いた方を、

裏切るというのは、正直辛いものがあります。

出来れば避けたいことですが、ここまできたら、

傷口は可能な限り小さくすべきと考えるようになりました。