それでもあきらめるな どん底人生

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『失敗の原因③』相手を理解していない

このブログ『失敗の理由(成功への道)』も
今回で3回目になりました。
私の企業経営の失敗(会社売却)の原因を何度も考えていると、
いくつかの答えが見えてきました。

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それは失敗の原因であると同時に、
逆に考えれば失敗しない為の方法であり、
成功への道でもあると気がつきました。

そう考えこのブログでお伝えする事にしています。

今回は『相手を知らない失敗』です。

相手とは、つまりビジネスで関係している人々の事です。
社員であり、仕入先であり、金融機関であり、お客様です。

特に社員さんとは毎日顔を合わせて、問題を共有し、
同じ目的に向かって進んでいましたから互いに充分理解しあえている。
そう思っていました。

私も理解しているが、彼らも私の事を解ってくれているはず。
そう思い込んでいました。

だから、『この難局(経営危機)を乗り越えれば
きっとみんなにとって素晴らしい未来が待っている。
だから今は辛抱して頑張ろう。今は乗り越えるべき時だ。』

全員がそう思っていると何の疑いもなく思っていました。

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業績が苦しくなると会社の空気が重くなる

しかし、業績は一向に改善しませんでした。
それどころかどんどん悪くなって行きます。
いたるところで色んな問題も続出してきます。

この頃になると、私の仕事は、火消し業になりました。

何か問題が起こった現場に飛んで行って、
まずはお詫びをし、改善策を伝え、なんとか了解してもらう。
そんな事ばかりやってると、大事な経営改善が出来なくなります。

そんなある日、夜遅くまで会社に残っている時、
ふと『俺って今日何やってたっけ?』と思う事がありました。

クレーム対応したり、銀行提出の資料を作ったり、
会社の現状説明をして何とか取引を継続してもらう話をしたりです。

もちろん大切な仕事である事には間違いないのですが、
売上を上げるとか、利益を増やすとか、
新商品の開発といった抜本的にこの窮地を抜け出す仕事は、
ほとんどやってない事に気付き、
どっと疲れが増していたのを覚えています。

社員2人の訪問で気付いた事

そんな時、社長室のドアがノックされました。
それは労働組合の委員長と副委員長でした。

最近、よく私の部屋にやってくる2人です。
会社でも重要な仕事をやってくれている現状を痛い程
知り尽くしている主要メンバーです。

彼らが聞きたい事は解ってました。会社の現状です。
この会社は、はたして大丈夫なのかという事です。
現状を報告する間、静かに頷きながら聞いてくれていました。

『こんな想いをさせて申し訳ない、
しかしきっと解ってくれるはずだ、一緒に乗り切ろう』
そう思った次の瞬間、彼らの口から出た言葉は、
『ベースアップは約束通り行えますか?
もし無理なら休日を増やしてください』というものでした。

一瞬我が耳を疑いました。
『彼らは、誰よりも会社の現状を理解しているはずの
主要メンバーではないのか。
私が会社の存続と社員の雇用維持の為に
どれほど悪戦苦闘しているのは十分に解っているはずではないか。
それなのに、休みを増やせだと?なんて自分勝手なんだ、
ふざけんじゃない。』

溜まっていた怒りが一瞬、大爆発しそうになりました。
そんな思いを何とか押さえて出てきた言葉が
震えていたのを覚えています。

一人になった社長室でも怒りは収まりません。
会社が終わればみんなは路頭に迷うんだ。
もちろん連帯保証をしている私は全てを失う。
それなのにあいつらときたら・・・』

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その時、ふと数日前に友人に連れられて訪問した
弁護士の言葉が蘇ってきました。

その弁護士に、一通り現状を説明した後、
友人が『社長であるこいつはどうなるんでしょう?』

の質問に『もちろん全ての責任を取らなければならないでしょう、
それがこれまで経営を行ってきた社長の責任です。

そんな事はとっくに解ってた事でしょ?』
まるで小学生でも知ってる一般常識でしょ?
今更何言ってるんですか?と言ってるように聞こえました。

では、従業員である彼らの責任は何なのか? 

そう考えたら答えはすぐに見つかりました。

それは『家族を守る事です』
彼らがまず最初に守らなければならないのは会社ではなく、家族です。

その為に、くやしくても頭を下げ、
時に理不尽でさえ呑み込み、どんなにつらくても、
この仕事から逃げなかったのです。

だから誰より大切な家族を犠牲にしてまで会社に尽くす事は出来ません。

そんな当たり前にあらためて気がついた時、
私の中から怒りは消え去り、
ご家族に不安な思いをさせているだろう事が想像され、
申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

子供が寝静まったリビングで奥さんから
『あなたの会社どうなの?私たちの生活は大丈夫なの?』
そう問われた社員の姿が目に浮かびました。

彼らは、命をかけて守らなければならない
大切な物をその背中にしょってます。

しかし、そんな事は会社ではこれっぽっちも見せずに、
苦戦が続くこの会社で頑張ってくれていました。

だから、たとえ彼らが、この会社を去ったとしても
誰も責めることは出来ません。

その決断は、一家の主である彼らに任せるべきだ。
そう思う事にしました。

M&Aで大手企業の参加に入る

その後、ぎりぎりの状況をくぐりぬけて、
我社は大手上場企業のグループ企業に加えてもらいました。

今は、まだまだ再建途上にあるものの、
当時のような明日どうなるか解らないといった状況は
脱することが出来ました。

きっと奥様も一安心されたんじゃないでしょうか。

すると、しばらくして社員さん達の行動が
変わってきたのが解りました。

一言で言うと、活き活きと明るく仕事をしているのです。

あの時の不安に満ちた空気とは明らかに違います。
多分、仕事は以前よりも大変になったと思います。

責任もプレッシャーも仕事量も増えたと思いますが、
それ以上に笑顔が増えました。

それは、頑張ればきっといい事がある。
そう信じて仕事をしている笑顔です。

誰もが時間を惜しんで仕事をしています。
働き方改革と大手ゆえのルールで有給休暇は
きちんと取らなければなりませんが、
当時の権利として休みを主張するような雰囲気はありません。

彼らだって会社に貢献したいという
熱い気持ちは十分に持っていたのです。

まとめ

最も近しい仲間を理解せずして、
自分だけで頑張ってみたところでたかが知れてます。

どんなに窮地に立たされていようと、
目の前の人の事を理解しようと努める事。

たとえそいつが、なんらかの事情で
チームを離れる事になったとしても、

最後までとことん理解して信じ切る。

それが、生き物である会社というものを
成功に導く最初の一歩だと思い知らされました。