それでもあきらめるな どん底人生

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『失敗の理由②』 自分の事が見えてない

長年我が子のように、我が人生のように思っていた会社を
大手企業に買って頂きました。

従業員の雇用が守られ、仕入先には迷惑はかけなかったものの、
金融機関の負債を一部放棄頂く、事業譲渡という形で、
連帯保証をしていた私は私財を提供し、
一方で経営者保護のガイドラインを使わせて頂き、
まもなくこの会社を去ろうとしています。

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つまり私は事業を失敗させました。
今、この事実を冷静に振り返る時、
そこにはいくつかの『失敗の理由』が見えてきます。

そして、この理由を突き止め深掘りしていくと、
それらは失敗しない方法に繋がっていくことに気がつきました。

この事をお伝えする事で少しでも、
『失敗しない』為にお役に立てていただければ幸いです。

 

M&Aによる会社売却の決意を固める 

悩んで悩んで悩み抜いたあげく、自分の会社を売却する事を決意しました。

途中で何度も、『なんとか誰にも迷惑かけずに自主再建できないものか』

そう考えましたが、叶わぬ事と思い知りました。

今、決意しなければもっと大変な事になる。それが決意した理由です。

会社を売る為には、M&A(合併と買収)という手法を使います。
しかし、商品を売るのとは訳が違います。

会社の価値を判断する為に、
m&Aの外部専門家が、ありとあらゆる事を調べ上げます。
まるで、犯罪者が取調室で丸裸にされるような感じです。

我社はメーカーでしたから工場にどれだけの価値があるかは
大きな判断材料になりました。

工場視察の夜、宣告を受ける

ある時、その専門家グループが工場を視察に行くと言い出しました。
そこに社長である私に同行しろというのです。

工場の詳細は私よりも工場長が適任だと申し出ましたが、
それでも私に来いと言います。

『何かあるな』そう感じました。

おまけに視察前日から泊りでやってくると言います。
そうなると宿の手配から、夕食の手配まで行わなければならず、
それなりの出費がかさみます。

当日は駅に出迎えに行き、その足で夕食に向かいました。

周りに気を使う事がないようにと、あえて個室を予約しておきました。

食事は、お酒が入ってた事もあり仕事の核心に触れることもなく、
和気あいあいと進みました。

『今日はこのまま平和に終わるのか?』
そう思った時、相手が私の眼を見据え、話を始めました。

『我々の見立てでは、会社はかなり厳しい状況です。』
『いや、まだ充分な資産があり債務超過ではないはずですよ』と答えると

『その資産である在庫と売掛金の評価が決算書よりかなり目減りします』
そう伝えられました。

そして、かなり厳しいM&Aになるだろうと告げられました。

これが彼らが前日にやってきた理由でした。
『会社や工場でなく、落ち着いたところで、社長に厳しい事を伝える』
彼らなりのせめてもの配慮だったのです。

一瞬、酒が覚め、頭が真っ白になり、
そして次の瞬間、腹が据わったのが解りました。

『そうですか、言いにくい事を言わせてしまい申し訳ない』
『どうか、その厳しい中でもなんとか進めて頂けませんか』
そう伝えました。

失敗の原因『自分の事を知らない』

評価は数字で表されます。決算書は税務署や銀行に提出するものですから
専門の税理士が『間違いないですよ』と証明の為にハンコを押してくれる
正式な書類です。

だからその数字を信じ切ってました。
それが、正しくない、もっと厳しいはず。そう宣告されたのです。

という事は、本当の自分の事を実は解ってなかった
という事になります。

会社の数字は毎日のように見てました。
昨日の売上がどうなのか、どこのお客さんでどれだけ買ってもらえたのか。
資金は足りるのか、経費はどこでどれだけつかっているのか。

『数字はちゃんと見ている』そう思い込んでました。
しかし、それは表面だけ眺めていたに過ぎなかったのです。

在庫があるけど、実は売れる見込みが少ないものや、
お客様への売掛金があるけれど、すでに何年もたっていて
回収の見込みがないもの。

それらが我社には根雪のように積もっていました。

何とかしようとする焦りが視界を曇らせる

売上が減少しているのは解っていましたから、
日夜、『もっと頑張って取り返さなければ』
そう思っていました。

しかし、我社が今まで主に販売してきた商品は
市場からはそれほど求めら無くなってました。

お客様が欲しくないものを、頑張って売るのは押し売りです。
1回は買ってくれても、次はありません。という事は、
頑張ってはいけない頑張りを繰り返していた事になります。

もうすでに魚がいなくなった池で、
餌を変えたり、釣りざおを変えたり、
釣り方を変えて苦しんでいたという事です。

池のふちで眺めている人にはきっと滑稽にうつったことでしょう。
自分の事が自分で見えてなかった愚かな釣り人だったのです。

たとえ、その人が、『ここにはもう魚いませんよー』
と言ってくれたところで
『何言ってるんだ、我々はずっとここで釣り上げてきたんだ』
そう答えていたと思います。

食事の後の帰り道

その日はとても綺麗な月夜でした。田舎街だからか星が妙に輝いてました。

そんな夜空を見上げながら、これから何が起こるんだろう。
そう考えていました。

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どうなるか解らないことがこれほど不安なものなのか。
そう思いながら、
『たとえどうなろうとも、最後まで取り乱すことなく、
凛としていよう。姑息な事は絶対にしない』

そう心に誓いながら誰もいない田舎道を
一人歩いていました

まとめ

失敗の原因②は『自分の事が見えていない』です。
自分の事がちゃんと見えていないと、正しい頑張り方が解らない。
にもかかわらず頑張るから、傷口は広がるばかりです。

自分の事をきちんと見る為の最初の一歩は、
『思い込みを捨てる』

そこから始まるのだと思います。