それでもあきらめるな どん底人生

これからの人生を最高にしていくために

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連帯保証人になって経験した事、気付いた事

中小企業の社長にとって、会社の経営とは人生そのものです。
なぜなら、会社が倒産してしまえば、
連帯保証をしている代表者は、
会社に代わって債務を支払う義務があります。
 

それを前提で金融機関はお金を貸してくれます。
しかし、個人で返せるくらいなら、
そもそも銀行から借り入れなんてしてません。

 

 

連帯保証人とは

連帯保証人とは、その名の通り、借りた本人でない人が、
連帯で保証するという事を認めた人のことです。

会社が借りている借金を社長が連帯で保証するという事になります。

 

つまり、会社に何かあれば、それはそのまま
社長に返済の責任が及ぶ事になります。

もしも、会社が返せない事態が生じれば、
それは、社長の人生が大きく変わる事を意味します。

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弁護士に言われた一言

私が経営していた会社が急激に厳しくなりました。
これから何が起きるのだろう。
何とかしようと東奔西走していましたが、
事業は一向に良くなる兆しが見えませんでした。

 

毎日、不安に苛まれ、おろおろとする日々を送っていました。

そんな折、古い友人にこの事を打ち明けると、
とにかく一度、知り合いの弁護士に話を聞いてみようと言ってくれました。

 

知らない事で不安を抱えるより、専門家に話を聞いてみよう。
少しは気も楽になるかもしれない。

そんな気持ちで弁護士事務所を訪問しました。 

面談した弁護士は、企業倒産や再生が専門のプロの方でした。
一通り、決算書を見せて説明した後、恐る恐る言葉を待っていると、

そこで言われた一言は『倒産、破産するとどうなるか』というものでした。

 

何か、安心出来る言葉でもかけれもらえるかという
淡い期待は吹っ飛びました。

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私の『なんとか自宅を守る方法は?』という甘えた言葉に、
弁護士から言われた一言は
『長年、会社を経営してきた社長なら、そのくらいは覚悟してるでしょ』
というものでした。

 つい、『すみません』という言葉が口から出てましたが、
同時に、なんでこの人に謝らなきゃいけないんだろう
という気持にもなりました。

 債権者ならいざしらず、弁護士なら
少しはどん底経営者の気持を察した
言い方があるだろう。 そんな事を思いましたが、
もちろん口には出しませんでした。

そして、二度とこの弁護士事務所を訪れる事はありませんでした。

 

再生支援協議会を訪問する

そんな事をやってる最中にも
会社の業績はどんどん苦しくなって行きました。

このままでは、早晩資金がショートしてしまします。
そんな事は、取引している金融機関も分かっています。

 そこで勧められたのが、中小企業再生支援協議会でした。

これは、経済産業省の委託事業です。
それまで、そんな存在がある事すら知りませんでした。

 全国の商工会議所の中に事務所を置いており、
主に金融機関のOBや法律のプロが職員として常駐していて、
私のような、どん底にある経営者の相談に乗ってくれて、
支援をしてくれるとても有難い機関です。

 最初の訪問のときには、ひどく緊張しました。
まるで被告人が裁判官に会いに行くような心境です。

 会うまでは、先の弁護士の発言を思い出して、
きっとまた厳しい事言われるんだろうなと想像していました。

 しかし、面談頂いた2名の支援協の方は
とても親切に、私の気持ちを察した
暖かい対応をして頂きました。

もちろん、これから相当の困難を乗り越えなければならない事は

誰の目にも明らかでしたから、そこに、笑顔はありませんでしたが、
『一緒になんとか乗り越えていきましょう』という
気持が伝わってきて、心から有難いという気持ちになれました。

 

個人資産のチェック

倒産して個人破産するにしても、
倒産を回避出来て、破産を免れたとしても、
金融機関に借りたお金は連帯保証をしている以上、
個人にも及んできます。

 この頃には、新たな弁護士の先生についてもらっていました。

若い先生でしたが、とても優秀でびっくりするほど粘り強く
そして暖かい人でした。

 めったに笑わない人でしたが、行動にも言動にも
どこか暖かさを感じました。

同じ弁護士にも色んな方がいる事を知りました。

 

ある日、昼食を一緒に取っている時に、
その方が、ぼそっと『そろそろ社長の個人資産をチェックしましょうか』
と言われました。

ついに来たかーといった心境です。
覚悟はしてましたが、他人に自分の資産を丸裸にされるのは、

それなりの覚悟がいりました。

 株券や投資信託の評価、自宅の登記簿謄本
ゴルフ会員権から保険証書まで全てを提出しました。

びっくりしたのは、全ての預金通帳の
1行1行についてヒアリングされた事です。

 個人の方に振込をしていたら、
これは誰でどんなお金で、返ってきたのかどうかまで聞かれました。

 もう、なんでも聞いてくれ、
丸裸なんだから覚悟は出来てる。
そんな心境になりました。

 あとで気付いた事

金融機関は貸したお金を少しでも多く回収しようとします。

そこに弁護士という双方から信頼されたプロが
どれだけ資産があり、どれだけ返せるのかというチェックを行います。

 

金融機関にしても、弁護士にしても、色んな経験のあるプロです。
私みたいな経営者とは何度も対峙してきたはずです。

 

それに引き換え、人生で預金通帳を他人に
チェックされる経験のある人間は
そんなにいるもんじゃありません。

 つまり、全くのど素人が百戦錬磨のプロにチェックされるわけですから、
下手にごまかそうとかしても、全てお見通しだと思います。

 だから、ここはしっかり覚悟を決めて正直であることです。
ごまかしは、間違いなくばれると思います。

すこしでもごまかしたという事実があれば
心証は悪くなります。

 それはすべきではありません。
何故なら、金融機関も弁護士も
人間だからです。

 この後、私は、どん底の厳しい暗闇の中で、
何度も人間の心の温かさに触れる事になりました。

 

まとめ

会社の社長は連帯保証人になります。
それは、会社と人生を共にするということ。
重い責任を担う事です。

 その責任を担った時には、今までの景色が一変します。
事業を成功させるという夢や希望と同時に、
家族をも巻き込んだ、空恐ろしいほどの、
責任の重さも痛感します。

 今は、会社をスポンサー企業に引き継いでもらって、
自宅やゴルフ会員権や有価証券を売却し、
金融機関の返済に充て、その一部を自分の手元に残させてもらい、
この連帯保証人を解いてもらいました。

 連帯保証人になって、経験した
どん底の時間は、まさに地獄でしたが、
同時に様々な気付きや教えを与えれくれるものとなり、

  これからの私の人生を大きく変える事になる
そんな経験になりました。