それでもあきらめるな どん底人生

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社員が会社で働く理由

日本には380万社を超える会社があります。

何かの縁で、何かのきっかけで、人は企業を選び、

そこで働く事になります。

社員が働く理由は人それぞれです。

 

中小企業である我社にも30名を超える社員さんがいました。

工場のパートさんを含めると70名近くの方に働いてもらっていました。

過去形を使っているのは、今は、会社を大手企業に買ってもらい、

私は経営者を退いたからです。

 

急激に悪化した業績を自主独立再建する事を断念し、

大手のグループ企業に入ることで、

雇用の維持、事業の継続、のれんの継承をする道を選びました。

 

経営者から見た雇用

長年経営者をやっていると、

雇用されている側の気持ちが薄らいでいたと感じています。

 

経営者の責任として、雇用を維持せねばという強い思いを持っていました。

雇用を維持する為には、何としても歯を食いしばって、

企業を存続させなければと思っていました。

 

『みんなで一致団結して、この難局を乗り切ろう。』

『だから、今は、賞与はないし、給与は低いけど、

乗り越えれば何とかなるじゃないか。その日を信じて頑張ろう』

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今になって、考えるとこれは経営者のエゴでした。

自分では気付いてませんでしたが、雇用を維持しなければという思いと同時に、

心の隅のどこかで、雇用してやっている、給料を払ってやっているという

密かなエゴが存在していたんだろうと思います。

 

『雇用してやってるんだから頑張って当然だろう』

『それなのになんで動かないんだ』

『会社は生きるか死ぬかの瀬戸際なんだぞ』

そんな思いが私を苦しめていました。

 

社員が働く理由

社員には社員の大切な人生があります。

人生の目的は幸せになる事でしょう。

幸せになる為には、お金が全てとは言いませんが、

家族が安心して生活して行くためには、やはりお金は大切です。

 

子供に進学するのを諦めさせて、苦しい会社の為に、

低い給与で納得する親はいません。

家族に不自由させてまで、会社にしがみつく訳には行きません。

 

まして、これから先の収入に大きな不安を感じたまま、

働きづつける訳には行きません。

 

 

どんなに夢を描いても、社会に貢献したいとう使命を持ったとしても、

家族を不安にさせたり、窮屈な思いをさせる訳には行きません。

 

そんな事すら、当時の私には見えてませんでした。

頑張ればなんとかなる。社員も当然頑張るべきだ。そんな思いが

私を盲目にさせていたのかもしれません。

 

厳しいけど高い給料を払う社長、優しいけど低い給料しか払わない社長

世の中にはいろんな社長がいますが、

経営者は社員に高い給与を取らせなければならないと思います。

 

どんなに人格者で社員に慕われていたとしても、給料は大事です。

たとえ、社員が『お金は二の次でいいんです。僕は社長に付いていきたいんです』

と言ってくれたとしても、いや、そういう社員ならなおさら、

高い給料を支払ってあげたい。

豊かな人生を歩んでもらいたいと思うべきです。

 

一見、自分勝手で厳しい社長でも、高い給料を払ってくれるなら、

優しいけど、頑張っても低い給料しか払ってくれない社長よりは

ましじゃないでしょうか。

 

会社を売却しようと決意した理由

会社の業績が悪くなる中でも、もがきながら頑張り続けていましたが、

ある日、ふと『このまま頑張って3年後にみんなで笑ってるだろうか』と

自問してみました。

 

環境が変わり、大変厳しい業界でしたから、

そう簡単に好転は望めないと思っていましたし、

世の中は、人手不足によるコストアップ、少子高齢化による市場縮小、

AIによる設備投資の高騰など、

我社にとってはマイナスの要因ばかりが言われていました。

 

『みんなで笑う為には、思い切った事をやらない限りありえない』

今さらでしたが、その答えにたどり着きました。

www.k-genri.com

雇用を維持すること、今のままであり続ける事にこだわり続けると

全てを失うというなんとも恐ろしい想像が見る見るうちに膨らんで行きました。

 

思い切った事とは、今とは違う、時代や顧客が求める事業に転換するか、

大手パートナーと組んで一気に生産性を改善するかしかない。

しかし前者の事業転換には時間と資金が必要ですが、

その余裕はもう我社にはありませんでした。

 

残る道は大手パートナーに加えていただくしかない。

その判断を誰にも相談せずに一人で決めました。

苦渋の決断とはこの事だと思い知りました。

 

会社は生き物です。生ものです。長い歴史の中には、

泣いたり笑ったり、怒ったり様々なドラマが凝縮されています。

人生そのものと言っても決して過言ではありません。

 

そんな家族みたいな会社を手放す決断は、

相当なものでしたが、それしか方法はないというのが理由です。

 

まとめ

大手のグループに入り、まだ日が浅いので、

急激な業績の改善がなされている訳ではありません。

 

しかし、新しい社長の下で、かつての社員が頑張ってる姿を

事務所の隅で見ています。

『会社が軌道に乗るまでは、責任はまだある』と思い残っていますが、

明日会社がどうなるか解らないという状況を脱した今、

社員さんの顔に少しだけ余裕が出来て、

笑顔が戻ったように思います。

 

不安に包まれて下を向いて仕事するより、

3年後に笑う事を想像しながら活き活きと仕事する方が、

いい仕事が出来るに決まってます。

 

そう思うと、苦渋ではあったけど、

あの日の決断は間違いではなかったと思っています。